冬のお勧め大長編作品編
交際クラブ・デートクラブご利用のみなさま、年末年始はどのようにお過ごしでしたか?
今回は大長編作品をご紹介させていただきます。
すごく長い作品が読みたい、短い作品はもう飽きてきた、なんて方におすすめです。
長い作品は読むのは時間がかかるので大変ではありますが、素晴らしい大長編を読んだときに得られる感動はとても大きいです。
長くともできる限りとっつきやすいものをご紹介いたします。気になったのならぜひ手に取って読んでみるといいでしょう。
新世界より
誰でも超能力を使えるようになった1000年後の日本を舞台に、少年少女たちがちょっとした好奇心から自分たちの生きている世界の秘密を知り、10数年にわたる激動の時代を描いたSFファンタジー作品。
犯罪もなにもないユートピアに見えた世界が、随所にみられるおかしな点から、おぞましさのうえに成り立つディストピアであると徐々に解明されていくのは圧巻というほかなく、文庫で三冊になる分量を一気に読ませられること間違いなしです。
SF・ファンタジー以外の要素も数多く含まれているため、どのジャンルが好きであっても楽しめるでしょう。
ドゥームズデイ・ブック
現代のタイムトラベルSFを読みたいのなら、まずこれを読めといわれるくらい代表的な作品。
SFの3大タイトルと言われているヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞のすべてを同時受賞したことからもそのクオリティの高さがうかがえます。
タイムトラベル技術が実用化し、歴史研究でそれが利用されている未来が舞台です。
オックスフォード大の史学部の学生が調査のためにペストが蔓延しつつある15世紀終盤のイギリスに向かい、そこで思わぬトラブルに巻き込まれ、同時に現代のイギリスでもトラブルが発生し、過去と現在が入り混じりながら物語が進んでいきます。
海外SFにはありがちな難しい科学理論の話はほとんどないため、それが苦手な方でもとっつきやすく、そのあたりが世界的な賞を総なめにした要因なのかもしれません。
ジェノサイド
アメリカの安全保障会議で言及された「人類滅亡の可能性」とは一体なにか、そこから日本とアフリカとアメリカを舞台に「未来」との戦いが描かれた作品。
さえない日本の大学院生が病死したはずの父からいきなり送られてきた不可解なメール、不治の難病に侵された子供を持つ傭兵に持ちかけられた不審な依頼から始まり、科学、政治、陰謀、軍事、アクション・・・その一つだけでも長編が書けてしまうネタを惜しむことなく使って描かれた現代エンターテイメントの極致。
ジェノサイド、という不穏なタイトルの通り、中にはページを閉じたくなってしまうゆな不愉快なシーンも数多くあります。
ですが、その不愉快なシーンもすべてエンターテイメントとして昇華されており、読み終えたときにこれほどのカタルシスを得られる作品はそうありません。
初見のときは、「どうしてこれを読んでいなかったのだろう」ことを後悔するでしょう。
深海のYrr
深海のメタンハイドレートをひたすら掘り進めるゴカイ、船を襲うクジラ、謎の疫病をまき散らすロブスター・・・次々と起こる海の異変をダイナミックかつリアルに扱った海洋冒険SF作品。
身近にある「海」がこれほどの異世界であったのかと実感させられるでしょう。
この作品はドイツの作品です。
そのドイツでは世界的ベストセラー「ダヴィンチ・コード」とベストセラー争いを何週にもわたって続け、追い抜いています。
「ダヴィンチ・コード」に競り勝ったのは伊達ではありません。
それだけの力がこの作品には込められています。
ここずっと耳にすることが多い環境問題についても踏み込んでいますので、それを知るきっかけにもなるのではないでしょうか。
空の境界
人気スマートフォンゲーム、「Fate Grand Order」のシナリオライターにして、「Fate」シリーズを生み出した奈須きのこ氏によって描かれた伝奇小説。
最初は自費出版され、伝説的な作品となり、その後、講談社から商業出版され、映画にもまりました。
基本的な世界観は「Fate」シリーズと共有しているため、「Fate Grand Order」からシリーズに触れた人でもすんなり作品に入っていけるでしょう。
小説ならではの面白さを追求した作品でもあり、長らく「映像化は無理」と言われていましたが、いまからちょうど10年前に映画になり、こちらも高い評価をされています。
最初のほうは意図的にわかりにくく書かれていますが、そこを乗り越えて読み進めていくと、読む手が止まらなくなって気づいたら読み終わっていた、なんてこともあるかもしれません。
まとめ
今回は大長編作品をご紹介させていただきました。
どの作品も上下巻構成以上となっており、読み終えるのに何日もかかるなんてこともあるでしょう。
ですが、長いぶん読み終えたあとに得られる読後感はとてつなく大きいです。
そのうえ、読みやすいものであっても一度読んだだけでは理解が進まない部分も多くなるでしょう。
一度読んだだけでは理解が進まないというのは、何度読んでも楽しめることでもあります。
それが大長編作品の醍醐味の一つです。
長い作品でもちゃんと読み通し、交際クラブ・デートクラブに相応しい教養を身に着けるといいのではないでしょうか。