古くから重宝されている薬膳の知識は、現代社会を生きる私たちに必要な情報です。日々の忙しさやストレスから、ちょっとした不調が続いてる人もいるかもしれません。そんな不調を毎日の食生活から変えることが出来たら嬉しいと思いませんか?
今回は薬膳の知識を取り入れた食生活についてご紹介します。
プチ不調には薬膳を
なんとなくだるかったり肌が荒れたり、さらに寝つきが悪いなど、病院に行くほどではないけれど、毎日の生活に影響するようなプチ不調は誰にでも起こるものです。季節の変わり目をはじめ長い過酷な暑さ寒さの季節は、誰しもプチ不調に繋がります。こうした状態は、東洋医学では「未病」と呼ばれ、本格的な不調に陥る一歩手前。薬膳は、中国の伝統医学をベースにして、食材の持つ“性質”や“働き”を利用して体を整える食事法です。薬やサプリに頼らず、日々の食事で体調をゆるやかに調整できます。それが大きな薬膳の魅力です。薬膳と言うと専門的な材料が必ず使われるというわけではありません。
特別な食材や料理じゃなくて大丈夫です。いつものスーパーで買える野菜やお肉、魚介類、果物でも十分に薬膳をベースにした考え方は活かせます。つまり、「ちょっと気になる不調を自然の力でケアする」手段として、薬膳はとても実用的な知識です。また、薬膳は季節や体質に合わせて柔軟に食材を選ぶルールが最前提。
たとえば、冷え性の人と熱がこもりやすい人では、同じ「だるさ」でも違う食材をおすすめすることがあります。だからこそ、自分の状態に合った食材を選ぶことが、プチ不調の解消につながるんです。
薬膳がプチ不調に効く理由
薬膳は東洋医学に基づいた食事の考え方です。その大きな特徴は、「症状を抑える」のではなく、体のバランスを整えて不調を根本からケアするアプローチに理由があります。基本的な西洋医学では、発熱すれば解熱剤を、頭痛には鎮痛剤というように、症状を取り除く対処療法が主流です。一方で薬膳を含む中医学では、「なぜその症状が出たのか?」という原因や体質を知識に当てはめて見極めて、内側から整えていく方法です。この中医学では、全ての人の体はエネルギー、血液と体液で構成されていると考えます。
これらの要素が不足したときや、滞ったり、偏ったりすると、私たちの体にはプチ不調として現れるようです。中医学の考えを取り入れた薬膳は、投薬治療のようにすぐに劇的な効果は期待できないものの、体の内側から効いてきて体質の改善に役立ちます。これまでの体質が改善すると、プチ不調に悩まされることが少なくなっていき、生活の質が向上する人が多いです。毎日の食生活で取り入れられるという点でも、気負わず継続しやすいという大きなメリットもあります。薬膳は普段口にする食べ物や飲み物からも簡単に取り入れられるので、それがズボラな人でも続けやすい理由の一つといえるでしょう。
薬膳の知識を役立てる具体例
体質別に効く食材を知ることによって、日常生活で簡単に薬膳を取り入れられます。たとえば疲れやすく風邪をひきやすい気虚タイプには、気を補う食材の鶏肉と山芋のスープがおすすめです。これらの食材は胃腸にも優しく、体を内側からじんわり元気にしてくれます。もし寝つきが悪かったり目眩がするようなら血虚タイプ。ほうれん草や人参、黒きくらげ、黒ごまなどを取りましょう。特に黒ごまとにんじんの彩りサラダは簡単なレシピのひとつです。
ほうれん草を彩りに加えて血を養い、乾燥肌を防ぎ美肌や月経トラブルにも効きます。ストレスが多く喉につかえる感じがするなら気滞タイプ。
グレープフルーツなどの柑橘系の果物、ミント、セロリ、オリーブオイルを取り入れて、気の巡りを良くしましょう。ストレス解消にも役立ちます。むくんで体が重だるい感じがするなら痰湿タイプで、はとむぎととうもろこしのデトックス粥がおすすめです。余分な水分を排出し、むくみや重だるさをケアしてくれます。女性に多い寒がり、冷え性の陽虚タイプには、ラム肉とにらの生姜鍋がよさそうです。えびや生姜、シナモン、黒豆なども体を芯から温める効果があり、元気を補ってくれます。
気軽に美味しく取り入れよう
薬膳は特別な料理というイメージがあるかもしれませんが、自分の体質に合った食材を日常の食事に取り入れる非常に実用的で優しい健康法です。現代の私たちは、ストレスや睡眠不足、偏った食生活などで残念ながら体調を崩しやすくなっています。そこで薬膳の考え方を取り入れることで不調を未然に防ぎ、自分の体をいたわる生活ができるようになるでしょう。たとえば、冷え性の人が夏でも冷たい食べ物ばかりを摂っていれば、体はますます冷えて不調が長引きます。ただし自分の陽虚体質に気づいて温める食べ物、例えばラム肉やしょうがなどを選べば、体の芯から温まって調子がよくなっていきます。
飲み物も緑茶よりほうじ茶や紅茶を選んだ方が体が温まりやすいとのこと。こうした体質に寄り添う食べ物の選び方こそが薬膳の本質です。わざわざ難しい調理法や珍しい食材を敢えて使う必要はありません。スーパーで買える食材でも、十分に薬膳は成り立ちます。だからこそ、忙しい現代人にも続けやすいんです。心と体に優しいセルフケアなので、毎日の食事に薬膳の考え方を少し取り入れるだけでも、自然と体調が整いやすくなります。難しく考えず今の自分に合った食材を選ぶことから始めてみましょう。
まとめ
薬膳の知識は、日頃私たちを悩ませるプチ不調を整えることができます。普段あまり口にしない食材もあるかもしれませんが、代わりになる食べ物もあるので取り入れやすいです。効果的な薬膳料理を完璧に目指さずとも、自分ができる範囲で無理なく続けられそうなものを選びましょう。













